2025年10月25日、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手がワールドシリーズ第2戦で圧巻の完投勝利を飾った。この快投は単なる勝利ではなく、数々の歴史的記録を塗り替える偉業となった。
ワールドシリーズ日本人初の完投勝利
山本由伸は9回105球を投げ、4安打1失点8奪三振無四球という完璧な投球内容でブルージェイズ打線を封じ込めた。この完投勝利は日本人投手としてワールドシリーズ史上初の記録である。
これまで多くの日本人投手がメジャーリーグで活躍してきたが、ワールドシリーズで完投勝利を挙げた選手は一人もいなかった。ダルビッシュ有、田中将大、黒田博樹、松坂大輔など名だたる投手たちが挑んだ大舞台で、27歳の山本が日本人初の快挙を成し遂げた。
24年ぶりのポストシーズン連続完投
山本の快挙はワールドシリーズだけにとどまらない。彼は10月14日のブルワーズとのナショナルリーグ優勝決定シリーズ第2戦でも9回3安打1失点の完投勝利を記録していた。つまり2試合連続での完投勝利となる。
ポストシーズンでの2試合連続完投は、2001年のカート・シリング(当時ダイヤモンドバックス)以来24年ぶりの快挙だ。シリングは地区シリーズ第1戦、第5戦、そしてワールドシリーズ第3戦と3試合連続完投という驚異的な記録を打ち立てたレジェンドである。山本はそのシリング以来の偉業を達成した。
| 記録 | 詳細 |
|---|---|
| ポストシーズン連続完投 | 2001年カート・シリング以来24年ぶり |
| ワールドシリーズ完投勝利 | 2015年ジョニー・クエト以来10年ぶり |
| 日本人WSタイトル完投勝利 | 史上初 |
| ポストシーズン通算勝利数 | 5勝(ダルビッシュ、田中将大と並ぶ日本人最多) |
ドジャース73年ぶりの記録
山本の投球内容も驚異的だった。3回に1点を失った後、4回から9回まで20打者連続でアウトを取り続けた。この20打者連続アウトはドジャース球団史上73年ぶりの記録となった。
完璧な投球リズムで打者を翻弄し続けた山本。ストレート、スプリット、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップと6球種を自在に操り、ブルージェイズ打線は全く対応できなかった。試合後、ブルージェイズのジョージ・スプリンガー外野手は「彼は今夜ミスをしなかった。脱帽だ」と敬意を示した。
詳細な投球成績
山本由伸の第2戦での投球成績は以下の通りだ。
初回にいきなり無死一三塁のピンチを迎えたが、冷静に3人で抑えて無失点。3回に1点を失ったものの、それ以降は完璧な投球で打者を寄せ付けなかった。9回2死まで投げ切り、最後の打者を三振に仕留めて試合を締めくくった。
ポストシーズン通算成績
山本のポストシーズン通算成績も素晴らしい。今季3勝を含めて通算5勝を挙げ、ダルビッシュ有と田中将大に並ぶ日本人投手最多記録に到達した。しかも山本は27歳という若さでこの記録を達成しており、田中の30歳、ダルビッシュの38歳を大きく下回る最年少記録となっている。
2025年ポストシーズンでの山本の成績は驚異的だ。計19.2イニングを投げて防御率1.83という圧倒的な数字を残している。大舞台に強い投手として、その評価は確固たるものになった。
メディアとファンの反応
米メディアは山本の快投を大絶賛している。USA TODAYは「463億円の男にドジャースは言葉を失う」と報じ、MLB公式サイトは日本のホラー映画「呪怨」をオマージュした画像で「打者たちに悪夢を見せ続けている」と表現した。
ヤンキースのレジェンド、デレク・ジーター氏も山本を絶賛。「彼の投球は美しい。操れる球種が6つもある」と称えた。通算223勝のクレイトン・カーショー投手も「彼の投球は美しい。打者の得意球だろうが関係ない。自分の最高のボールを信じている」とベタボメした。
SNSでは「いくらなんでもバケモノすぎる」「日本史上最高の先発投手説」「昨日バカスカ打たれまくった打線にこの投球」といった驚きの声が続出。ファンからも「敵にしたら貞子よりこわい」「怖すぎるでしょ」といった反応が見られた。
ロバーツ監督の評価
ドジャースのデイブ・ロバーツ監督は試合後、山本を絶賛した。「彼は闘争心にあふれ、まさに特別な存在だ。試合前に『負けは選択肢にない』と言っていた。その言葉通りの投球をしてくれた」
初回に23球を投げピンチを迎えた時点では、完投は想定していなかったという。しかし山本の圧倒的な投球を見て、9回まで任せる決断をした。「彼を信じて良かった。我々に必要だった勝利をもたらしてくれた」とロバーツ監督は語った。
山本自身のコメント
試合後のインタビューで山本は「最後までいけると思いませんでしたけど、冷静に投げられた」と振り返った。初回のピンチについては「あそこで失点していたら試合が変わっていた。抑えられて良かった」と安堵の表情を見せた。
自身の投球内容については「素晴らしかった」と自画自賛。「1勝1敗でロサンゼルスに帰れる。チームの戦力になれた実感がすごくある」と充実感を口にした。連続完投という偉業についても「歴史に名を刻めたのは光栄。でもまだシリーズは続く。次も勝ちたい」と前を向いた。
日本人投手の系譜
山本由伸の活躍は、長い日本人メジャーリーガーの歴史の中でも特筆すべき記録だ。野茂英雄がパイオニアとして道を切り開き、松坂大輔、黒田博樹、ダルビッシュ有、田中将大らが後に続いた。
しかし誰も成し遂げられなかったワールドシリーズでの完投勝利を、山本が27歳という若さで達成した。しかもオリックス時代から培ってきた独自のトレーニング方法と、メジャー2年目で見せた適応力は、今後の日本人投手のモデルケースとなるだろう。
今後の展望
シリーズは1勝1敗のタイとなり、舞台はロサンゼルスに移る。山本の快投で勢いを取り戻したドジャースは、ホームでの3連戦に臨む。大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンらMVP級の打者を擁するドジャースにとって、山本の安定感は計り知れない価値がある。
ポストシーズン5勝という日本人最多記録に並んだ山本。まだ27歳の若さを考えれば、今後さらに記録を伸ばしていく可能性は高い。ワールドシリーズMVPの可能性も十分にあり、日本人投手として新たな歴史を刻み続けるだろう。
24年ぶりの快挙を達成した山本由伸。彼の活躍は日本の野球ファンに大きな誇りと感動を与え続けている。