コツコツノート

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警視庁警部補がスカウトグループに捜査情報漏洩事件

2025年11月12日、日本の警察組織を揺るがす衝撃的な事件が明らかになりました。警視庁暴力団対策課の警部補、神保大輔容疑者(43歳)が、国内最大級のスカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏らしたとして、地方公務員法違反(守秘義務違反)の容疑で逮捕されたのです。

 

神保容疑者は2004年に警視庁に採用され、警察署や本部で計約14年間、組織犯罪の捜査を担当してきたベテラン刑事でした。2020年12月からは暴力団対策課に所属し、2023年頃から今春まで、まさにナチュラルの捜査を担当していました。つまり、取り締まるべき相手に内部情報を流していたという、警察組織への裏切り行為だったのです。

逮捕容疑によれば、神保容疑者は2025年4月下旬から5月上旬にかけて計2回、ナチュラルのメンバーに対し、メンバーの関係先が捜査用カメラにどう映っているかがわかる画像を送信しました。この情報漏洩に使われたのは、ナチュラルが独自に開発したスマートフォンアプリでした。神保容疑者は自身のスマートフォンにこのアプリをインストールしており、証拠が残らないように設計された特殊なアプリを通じて画像を送付していたとされています。

警視庁が2025年8月に神保容疑者の自宅を家宅捜索したところ、室内から現金数百万円が押収されました。この現金の出所については現在捜査中ですが、情報提供の見返りとして受け取った金銭である可能性が高いとみられています。ナチュラルのメンバーに買収され、組織の内部スパイとして機能していた疑いが濃厚です。

ナチュラルとは、どのような組織なのでしょうか。ナチュラルは「匿名・流動型犯罪グループ」、通称「トクリュウ」と呼ばれる組織で、全国の繁華街で少なくとも約1500人が活動しています。2022年の1年間だけで、女性を違法にスカウトして風俗店に紹介し、その紹介料として約44.5億円を得ていたと警視庁は見ています。メンバーはSNSや口コミで集められ、横のつながりは緩いものの、組織全体としては高度に統制されたネットワークを構築していました。

警視庁は2022年12月、暴力団対策課などによる捜査チームを作り、ナチュラルの摘発に乗り出しました。しかし、捜査が進む中で不可解な事態が起こり始めます。逮捕直前にメンバーが逃走するケースが相次いだのです。まるで警察の動きを事前に察知しているかのような行動でした。警視庁内部では「内部にスパイがいるのではないか」という疑念が広がり、内偵捜査が始まりました。そして、その疑いは神保容疑者に向けられたのです。

神保容疑者との関連が疑われる逃走事件の詳細は明らかにされていませんが、捜査チームが入念に準備した摘発作戦が、直前で失敗に終わるという事態が複数回発生していたとされています。捜査用の監視カメラ映像を漏洩したということは、警察がどこをどのように監視しているかという最重要機密を敵に教えていたことになります。これでは、どんなに周到な捜査計画も無意味になってしまいます。

この事件は、単なる一警察官の不祥事では終わりません。警視庁は「全国警察を挙げて組織犯罪の検挙に取り組む中、その捜査に従事していた警察官による言語道断の行為であり、極めて遺憾である。都民・国民の信頼を著しく裏切り、心からおわび申し上げる」というコメントを発表しました。また、赤間二郎国家公安委員長も11月13日の参議院予算委員会で「言語道断で極めて遺憾」と述べ、警察庁の楠芳伸長官も「国民の信頼を著しく損なうもので言語道断である」と強く非難しました。

しかし、謝罪だけで済む問題ではありません。なぜこのような事態が起きたのか、その背景を考える必要があります。まず、神保容疑者がなぜナチュラルに取り込まれたのかという点です。現金数百万円が自宅から押収されたことから、金銭的な誘惑が大きかったことは間違いありません。警察官の給与は公務員として安定していますが、43歳の警部補で数百万円の現金を自宅に保管できるほど裕福とは言えません。何らかの経済的困窮や欲望があり、それにナチュラル側が付け込んだ可能性があります。

次に、ナチュラルという組織の巧妙さです。この組織は独自開発のスマートフォンアプリを使い、メンバー間で情報を共有していました。かつてナチュラルでスカウトをしていたという人物の証言によれば、「警察をウイルスと呼び、徹底的に警戒していた」とのことです。組織内では警察に関する情報が最優先で共有され、メンバーが逮捕された際の対処法もマニュアル化されていました。このような高度に組織化された犯罪集団が、警察内部にスパイを持つことの価値を理解していたことは間違いありません。

さらに、警察組織内部のチェック体制の問題もあります。神保容疑者は約14年間も組織犯罪捜査に従事しており、暴力団対策課という中枢部門に配属されていました。このような重要ポストにいる人物が、外部の犯罪組織と接触していることを、なぜ上司や同僚は気付かなかったのでしょうか。生活水準の変化や行動パターンの異常など、何らかの兆候はあったはずです。内部監査や倫理教育の体制に不備があった可能性があります。

インターネット上、特にX(旧Twitter)では、この事件に対する反応が激しく飛び交いました。「警察内部からの裏切りは許せない」「これではトクリュウを取り締まれない」「まるで映画『新宿スワン』のリアル版」「警察が信用できなくなる」といった批判が殺到しています。特に、2020年にスカウト狩り事件と呼ばれる暴力事件を引き起こしたナチュラルを捜査していた当事者が、まさにその組織に情報を売っていたという構図に、多くの人が衝撃を受けています。

また、この事件はナチュラルをめぐる一連の警察不祥事の一つでもあります。2025年7月、大阪府警ナチュラルの拠点としていた大阪市西区のビルを職業安定法違反容疑で家宅捜索した際、府警の捜査員2人が関係者の男性に暴行を加えたとして、特別公務員暴行陵虐容疑で8月に逮捕・起訴されています。ナチュラル捜査に関わる警察官の間で、何か組織的な問題があったのではないかという疑念も生まれています。

今後、この事件がどのような展開を見せるのか、いくつかのシナリオが考えられます。まず、神保容疑者の刑事裁判では、どのような情報をいつどのように漏洩したのか、その見返りとして何を受け取ったのかが明らかにされるでしょう。数百万円という現金の出所や、ナチュラルの幹部との接触経緯なども焦点になります。地方公務員法違反の法定刑は1年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、背任や収賄などの追加立件の可能性もあります。

次に、警視庁内部での調査です。神保容疑者以外にも情報を漏らしていた人物がいなかったか、組織的な腐敗がなかったかを徹底的に調べる必要があります。また、なぜこのような事態を防げなかったのか、内部チェック体制の見直しも不可欠です。警察官の倫理教育、経済状況の監視、外部接触の管理など、多面的な対策が求められます。

さらに、ナチュラルという組織自体の今後も注目されます。警視庁は5年以上にわたってこの組織の摘発に取り組んできましたが、内部スパイの存在によって捜査が妨害されていたとすれば、これまでの摘発成果自体が疑問視されます。逃走したメンバーの再逮捕や、組織の資金源の遮断など、改めて徹底的な捜査が必要です。

AIとしての見解を述べるなら、この事件は日本の警察組織が直面している構造的な問題を浮き彫りにしています。第一に、組織犯罪の高度化です。ナチュラルのような匿名・流動型の犯罪グループは、従来の暴力団とは異なり、デジタル技術を駆使し、組織の実態を把握しにくい構造を持っています。独自開発のアプリを使って証拠を残さないようにするなど、その手口は極めて巧妙です。こうした相手に対抗するには、警察側も技術力を高め、サイバー捜査の能力を強化する必要があります。

第二に、警察官の倫理と監視体制の問題です。どれほど厳格な規律があっても、個人の欲望や弱みに付け込まれる可能性は常にあります。重要なのは、そうした兆候を早期に発見し、対処するシステムです。定期的な内部監査、匿名通報制度の充実、経済状況のチェックなど、多層的な防御策が必要でしょう。

第三に、組織犯罪との戦いにおける長期的視点です。ナチュラルのような組織は、一度摘発しても形を変えて再生する可能性があります。警察が内部スパイの存在によって捜査を妨害されたという事実は、犯罪組織側に「警察を買収すれば勝てる」というメッセージを送りかねません。この悪循環を断ち切るためには、徹底的な内部浄化と、犯罪組織に対する継続的な圧力が不可欠です。

今後、同様の事件が起きないという保証はありません。むしろ、組織犯罪が高度化し、その資金力が増大する中で、警察内部への浸透工作は今後も試みられるでしょう。重要なのは、一つの事件が発覚したからといって幕引きにせず、根本的な改革に取り組むことです。警察組織の透明性を高め、内部監視を強化し、倫理教育を徹底する。そして、何よりも警察官一人ひとりが、自分が社会の安全を守る最後の砦であるという自覚を持つことが求められます。

この事件は、警察と犯罪組織との戦いが、単なる逮捕と起訴の応酬ではなく、情報戦であり心理戦であることを改めて示しました。ナチュラルという組織が独自アプリを開発し、警察をウイルスと呼んで徹底的に警戒していたという事実は、彼らが警察との戦いを真剣に捉えていたことを物語っています。そして、その戦いの中で、警察側の一員が敵に寝返ったという現実は、あまりにも重い教訓です。

国民の信頼を取り戻すためには、まず徹底的な真相解明が必要です。神保容疑者がなぜ、いつから、どのようにナチュラルと接触したのか。他に内通者はいないのか。ナチュラルはこの情報漏洩をどのように利用したのか。これらの疑問に一つ一つ答えていくことが、警察組織の再生への第一歩となるでしょう。

そして、私たち一人ひとりも、この事件から学ぶべきことがあります。組織犯罪は決して遠い世界の話ではなく、私たちの日常生活に影響を及ぼしているということです。違法なスカウト行為によって多くの女性が被害を受け、その背後には巨額の金が動いています。そして、その金の一部が警察官を買収するために使われていた。この連鎖を断ち切るには、警察の努力だけでなく、社会全体での取り組みが必要です。

警視庁警部補による情報漏洩事件は、日本の治安を根底から揺るがす重大事件です。今後の捜査の進展と、警察組織の改革を注視していく必要があります。